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顧みすれば

第31章 旅立ち

扉が閉まる瞬間


直哉さんが飛び込んできた。




「紗英、行かないでくれ」




私は無言でロビー階を押す

二人を乗せたエレベーターは

静かに降下し始めた。



「紗英、身勝手なのは十分わかっている。


 紗英の人生をめちゃめちゃにしたのも俺だ。

 紗英が俺を受け入れられないのも

 わかっている。



 だけど、だけど



 傍にいてくれないか。




 俺には紗英が必要なんだ


 紗英でなければダメなんだ。


 一生をかけて償う。


 一生をかけて紗英を大切にするから



 頼む、行かないでくれ」


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