テキストサイズ

顧みすれば

第31章 旅立ち



直哉さんは私を抱きしめた。




一瞬体が強張った。


変な汗が出る。





――まだ、だめだ





「直哉さん、まだ、無理みたい」




「そうか...ごめん...」




口でそうは言っても


抱きしめた腕を離そうとはしない。




「直哉さん、離して」




「いやだ!


 今度は本当に紗英がいなくなってしまう」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ