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顧みすれば

第31章 旅立ち


エレベーターの扉が開く


私は直哉さんの腕をすり抜け

ロビーへ歩き出す。



「紗英!紗英!」



直哉さんの声は天井の高いロビーで

大きく反響している。




「紗英!」



後ろから腕を引かれ


直哉さんの胸に抱きとめられる



「ごめん、ごめん...


 紗英、愛している。


   愛してる  」




ーー やっぱり 怖い



L字の建物の上部を見上げたら

社長室から見下ろす

おじさまが見えた。


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