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顧みすれば

第31章 旅立ち


「紗英、どこにも行かないで。


 身勝手なのはわかっている。


 でも、紗英の傍にいさせて。

 
 いたいんだ。


 頼む。


 紗英を傷つけてしまった俺が


 俺が紗英を守りたい」



「直哉さん、今はまだ無理よ。


 正直いま抱きしめられていることが


 怖くて仕方がないの



 だから、離して」




「そんな...

 紗英、僕はなんてことを…



 こんなに愛しているのに、紗英…


 紗英だけをずっと愛してきたんだ」




直哉さんはゆっくりと体を離してくれた。


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