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顧みすれば

第36章 愛の国

「紗英、もうすぐ日が沈む

 砂漠は人が住むには厳しい。

 
 都会にいると自分が世界を動かしている

 気になったりもするけど

 
 そんなことあるわけない


 ここにいると自分の微弱さを痛感する」



直哉さんに手を引かれて砂漠を歩く



「プラントの建設中に


 よくひとりで


 沈む太陽を眺めていた



 あの光に自分が飲み込まれるような


 感覚だったよ」



目の前には



大きな大きな太陽が



真っ赤に燃えながら



砂漠の向こうに消えていく。



それは心をわし掴まれるような



息を呑む光景



自然に太陽を祈る気持ちがわかる。




二人で手を握り



言葉も出せず



それを見ていた。


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