テキストサイズ

顧みすれば

第5章 イントロダクション

「洋子ちゃん、ヨダレ」

洋子ちゃんは慌てて口を拭う

「ごめん、冗談。なに見とれてんの」

「もう、佐々木さん恥ずかしいじゃないですか!

だって、石田さんがあまりに格好いいから見とれちゃいました。男の人が夢中で仕事の話をしている姿って素敵ですね♪」

洋子ちゃんの目はハートにならんばかり。
かわいくて思わず微笑んでしまう。

石田さんが私を見つめていることなど気付きもしなかった。

「佐々木さん」

「はい」

私は石田さんに向き直る

「あ、いえ。では宜しくお願いします。
 
 もう少し相談したいのですが、プレゼンのあと時間もらえないですか?」

「今のところなんとも言えませんが
 プレゼンの状況でご返事してもいいですか?
石田さんも出られますよね」

「はい。設計は僕が説明する予定ですから」

「では、プレゼンのあとで」

「宜しくお願いします

 えっと、洋子ちゃんだったかな?
 すっかりお邪魔して申し訳ない」

洋子ちゃんがゴクリとアイスティーを飲み込み、ケホケホと咳をしている

「あ、わ、私の名前覚えてくれたんですか?」

「あ、勝手に呼んじゃってごめんね。
 苗字がわからなかったから。」

さわやかに石田さんが微笑む。

「み、苗字はいらないです。洋子と呼んでください」

洋子ちゃんは多分自分でも何を言っているのか分からないのだろう。

ドキドキしているのがこちらにも伝わってくる

可愛すぎる。


じゃ、と石田さんは席を立った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ