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顧みすれば

第6章 ゲイバー さとし

「もう少しいなさいよ♪
 山下常務来るからぁ♪」

「ねえ、ルイちゃん面白がってるよね。

 ほんと、勘弁して。
 私の静かなOL 生活に波をたてないで欲しいわ」

「あらぁ、波もない人生なんてなにが面白いの?
 人生荒波を越えてこそじゃない♪」

イチゴちゃんがキラキラした目でいう。

「あのね、あんたたちとは違うの。
 荒波だらけのあなたたちから見たら
 私の人生なんてサーフィンもできないつまらない人生よ♪

 それでいいの。平和が一番」

「あーもー辛気臭いこといって
 女の一番いい時間をなんて無駄に過ごしているのかしらぁ」

「はいはい、わかったわかった。

 帰るからね」


「今日も王子様はシンデレラを探しにやって来るのよぉ♪

 あぁ素敵ねぇ♪ロマンスよロマンス♪

 私も胸を焦がすような恋がしたいわぁ♪」


「あのね、誰がシンデレラよ。
 わたしはガラスの靴を落とした覚えはありません」

ルイちゃんがグイグイと肘を寄せてきた

「それが落としたのよ♪

 なんか子供がしてそうなおもちゃのネックレスなんだけど

どうやら、アミが落としたらしいの」

ええ?

うそ?

私は鞄のなかをゴソゴソ探し始めた。

確かに ない。

子供がしてそうなって
だって、子供の時にもらったんだもん。
宝物なの。
私の初恋の思い出。

なんで落としたんだろう‥‥

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