テキストサイズ

顧みすれば

第6章 ゲイバー さとし

「うっそ‥‥

 それ、山下常務が持ってるの?!」

変な汗が出てきた。

「そ、アミの忘れ物だって大事に持ってたわよ。

 ね、あれ亜美ちゃんの?
 近所の子にでも子供に貰ったの?」

「うん、そう‥‥」

子供だった初恋の彼に貰ったの。
幼稚園の頃に貰ったネックレスを大事に持ってるなんて
私が一番乙女じゃん。


なんで、鞄にあるはずのあれが
山下常務の手元に行ってしまったんだろう‥‥


恥ずかしすぎる。あんなプラスチックの飾りのついたネックレス‥‥


取り戻そうにも返してくださいなんて

言えない。



ああ、もう絶対に会いたくない!

帰ろう帰ろう。

「じゃ、帰るね」

みんなが引き留めるのを振りきって店を出た。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ