君の笑顔をーー
第20章 フラッシュバック
私はトンネルの中で泣いていた。
震える体を抱きしめ、うずくまっていた。
どうして…。
どうして、あの時の恐怖が今さら出てくるの…?
蓮の唇が私に触れかけた時。
昔、感じたあの恐怖が…
握り潰される様に、鼓動が大きく跳ねた。
背筋が凍るような、あの感覚。
怖い…
その恐怖が私を支配するんだ。
蓮が嫌いなんじゃ無い。
蓮に触れられることが嫌なんじゃ無い。
でも、私の心と体は別の感覚になった。
私は蓮を傷付けた…
蓮の心を引き裂いた…
あんなに好きだったのに…
一瞬で蓮という存在が怖くなってしまったんだ。
心は蓮を求めていたのに、体は蓮を拒絶したんだ。