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叔父さんと僕

第3章 叔父さんと僕とラーメン。

「…え?」

昭彦叔父さんは腕を引いた。その拍子に僕は昭彦叔父さんの前に倒れ込んだ。

「ほれ、ここ。」

そう言って昭彦叔父さんは僕を包み込むように身体を寄せた。

「え、え?あ、えと…」

僕より太くてたくましい昭彦叔父さんの左腕が、僕の肩に置かれる。

恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。

口から心臓が飛び出そうだ。顔もきっと真っ赤だろう。

背中越しに昭彦叔父さんの体温が伝わる。
人の温もりを感じるなんて何年ぶりだろう。
いくらお母さんが好きだからって、さすがに高校生にもなって抱かれたりしない。

だからかな。嬉しい感じがした。

すると、昭彦叔父さんは口を開いた。

「父ちゃんはアレだし母ちゃんも忙しくて寂しんだろ?まあ当分俺といんだから十分甘えとけよ。」

昭彦叔父さんは半分寝ぼけながら僕にそう言ってくれた。

「…うん…ありが…とう。」

「んー。じゃあなんか食いたいもんある〜?」

僕の頭をわしゃわしゃしながら昭彦叔父さんはそう言う。

「…ラーメン。」

「わかった、ラーメンな。」

くしゃっと僕の髪を撫でると、昭彦叔父さんはベッドから降りる。

「あ。」

行かないで。

「あ?どした。」

「え、う、ううん。なんでもない。」

「そうか?」

そう言って、昭彦叔父さんはクローゼットを開ける。
こっそり覗くと、黒っぽい服が9割を占めていた。

昭彦叔父さんは上のスウェットを脱ぐ。
筋肉質な上半身には、所々傷の縫ったあとのようなものがチラホラ見えた。今までどんな人生を歩んで来たんだろう…。
そういえば、昭彦叔父さんはいくつなんだろう。
それだけじゃない。僕はまだ、昭彦叔父さんの事を全然知らない。


「昭彦叔父さーーー………」

「あーそれ。」

「え?」

「長ったらしい呼び方じゃなくていいぞ?別に。」

「あ、じゃあ昭彦さん。」

「あいよ。」

そう言うと昭彦さんはいつの間にか着替えが終わっていた。

「ほんじゃま、行くか。お前は準備オッケーか?」

「あ、うん。」

聞くのは後でいいかと、僕は昭彦さんに続いて部屋を出た。

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