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さくら

第1章 1

昼と夜とでは同じ花でも違って見える。

夜みる桜はあんなに妖しげなのに、昼間はただ美しいと思う。

僕の体は今どうなっているのだろう?

地中に横たわり少しずつ朽ちているのか。

それとも…。

現実にありもしない妄想。

僕は普通に生きている。

動いている。

友達や家族と話をして笑って。

毎日が同じように平和に過ぎていく。

―本当に?

現実と妄想。

どちらが正しい?

僕は生者?

それとも死者?

日常に妄想というものが入り込み、僕を壊していく。

けれどもそれは僕が望んだこと。

妄想によって僕は死者になる。

時間が過ぎるたび壊れていく肉体。

骨になるまで続く。

そして骨になった後は新たな肉体を得て復活する。

何度も何度も。

繰り返す死。

誕生。

僕の頭の中では生と死が繰り返され、その度に幸福を感じる。

それは今もだ。

桜の下の僕の体。

朽ちてやがて骨となる。

そして――。

空を見上げる。

きれいな青空だ。

風に吹かれ花びらが舞う。

ひらひらと。

今この風を感じているのは生きている僕?

風を想像しているだけの死んでいる僕?

どちらの僕なのだろう。

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