病み✕つき
第2章 接近
「ねぇらいむ〜最近2組の天野一哉と一緒に帰ってるらしいじゃーん♡」
お昼休み、いつものように女子グループでお弁当を食べていると、ふとそんな話題が持ち掛かった。
「え、まじ!二人付き合ってんの!?」
「えっ?付き合ってないない!!
ただ委員会で帰りが遅くなった時とか…方向一緒だからそれで…」
「えー怪しい〜!!」
ニヤニヤと茶化す皆に、慌てて弁解をするわたし。
たしかにあの日から、委員会で放課後残った日は決まって天野君と一緒に帰っていた。
でもそれは帰る方向がとたまたま一緒なだけだし、
天野君との会話だって、文化祭準備の話とか、お互いのクラスの話とか、ありふれた日常会話で。
それでもわたしは十分すぎるくらい幸せなんだけど…
きっと天野君は何とも思ってないんだろうな…
「でもさー、らいむが好きじゃなくても気を付けた方がいいよー?天野君ファンの子多いし!」
「そっか、そうだよね!天野君に迷惑かかっちゃうよね」
「もー相変わらず控え目だなー(笑)らいむ可愛いから嫉妬されちゃうよーって言ってんの!」
「それはないよ〜っ…」
思わず苦笑いで返してしまうわたし。
だってわたしと天野君がカップルに見えるなんて、嬉しいけど絶対ないもん
嬉しいけど…
ーーーーーキーンコーンカーンコーン…
放課後。
今日も文化祭の準備で収集された。
気付けば文化祭まであと2日
明日は全校で一日文化祭準備があって、文化祭装飾係の仕事ももうすぐ終わってしまう。
天野君とこんなに一緒にいられるのもあと少しだけ…
そう思うと自然と寂しい気持ちと溜息が零れる。
「よっ。なーに溜息ついてんの?」
クスっと無邪気な笑みを浮かべながら体育館に現れたのは天野君だった。