病み✕つき
第3章 距離
文化祭当日。
昼間はクラスの屋台の仕事で予想以上の忙しさだった。
昨日、天野君と後夜祭の約束したけど、そういえば具体的にどこで待ち合わせるとか、全然決めてなかったな…
忙しくて暫く手が離せないだろうし、天野君のクラスのお化け屋敷は校舎内だから天野君と会える気配も全然ないし…はぁ…
『クレープ一つ』
ぼんやりと溜息をつく暇もなく、次々にお客さんが来た。
「あ、はいっ…チョコバナナといちごとカスタードがありますけど…って…!」
目の前にいたお客さんは、天野君だった。
「じゃ、チョコバナナで」
「あ、はいっ少々お待ちくださいっ」
「クスクス…へたくそ」
「なっ…!」
思わず緊張で上手く出来ないでいる私の手つきを見て、笑いを堪えている天野君。
「200円です」
「あーわりわり。そんな怒んなって。」
少し拗ねた表情のあたしに、天野君は200円と一緒に小さなメモ紙を渡した。
「じゃな。いただきます🎵」
そう言って去っていった先には、昨日の茶髪の子が待っていた。
『天野ーおそーい!はやくー!』