病み✕つき
第3章 距離
あ…
あの子だ…
チク…
二人の光景を見て、胸が少し傷んだ。
やっぱり天野君…
あの子と仲いいのかな…
こっそり天野君に貰ったメモ紙を開いてみると
"6時に体育館に集合"
とだけ書いてあった。
6時は後夜祭が始まる時間。
あたしは楽しみに胸を膨らませる一方、あの茶髪の子のことが頭から離れなかった。
ーーーーー…
午後6時
「らいむっ!誰のこと待ってんの?」
「美和ちゃん!」
「やっぱ後夜祭の予定埋まってたか?♡もしかして…天野?」
「えっあのっなんていうか、たまたまだよ…!」
「ふーん?よかったじゃん☆」
「えへへ…」
美和ちゃんは大人っぽい。
お洒落でクールビューティーな見た目とは裏腹に、時折見せる笑顔は無邪気で可愛い。
彼氏が途切れないのも納得。
「らいむは可愛いんだから、自信持ちなよ」
そう言って小さくガッツポーズした美和ちゃんは、彼氏さんの元に向かっていった。
可愛いなんて…
あたしより美和ちゃんの方が何倍も綺麗だし可愛いのに
それに、あの茶髪の子だって、あたしなんかより全然可愛い…
『江藤っ!ごめん遅くなって』
6時を少し過ぎた時、天野君が息を切らせながら現れた。
体育館では既に後夜祭の出し物であるバンド演奏が始まっていた。
「ううん!全然大丈夫!」
「ちょっと友達に捕まっちゃって…なかなか抜け出せなくてさ。てかもう始まってんじゃーん」
しばらくライブを鑑賞した後、毎年恒例の告白イベントが始まった。
『さあさあみなさんお待ちかねの告白タイム!!今年もやっちゃいますよーー!!』
『今年は何組のカップルが成立するのか!?いやー楽しみですねー!!』
おちゃらけた司会が場を盛り上げる。
「ははっ。皆盛り上がってんな」
「…うん、だね。」
周りを見渡して楽しそうに笑う天野君。
『ではさっそく愛の告白タイムに参りましょーー!!我こそは!この神聖なる場で愛を告白したいという方!どうぞステージへー!!』