病み✕つき
第4章 証
「しかもなんで天野?あたしが文化祭委員に推薦しなきゃ何の接点もなかったのに…
わざわざ人気者狙うとか、目立ちたいだけなんじゃね?(笑)」
「それな〜(笑)」
やっぱり、あたしのこと……?
思ってもみなかった言葉に、唇を強く噛みしめる。
聞いてはいけない話だったのに。
聞きたくなかったのに。
"それでほんとに付き合ってんのぉ〜!?"
"そんなんじゃ誰かに取られちゃうかもよー!"
昨日のお昼休みの会話が蘇る。冗談交じりに行ったあの言葉。
あれがさきちゃんの本音だったんだね…
さきちゃんたちがトイレから去っていく音を聞いた後、あたしは静かに個室を出た。
窓からはオレンジ色の光が射して、なんだかその光すら眩しく思えた。
今日も、一緒に帰ろって天野君に言われてたんだった…
でも今は天野君に会えるような気分じゃない。
勝手に帰ったら、天野君怒るかな…
あたしは一人で帰り支度を済ませ、何も言わずそそくさと学校を出た。
ーーーーーー…
『江藤っ!!』
振り返ると天野君がいた。
「置いてくなよ〜。今日も帰るって言わなかったっけ?」
ふんわりと優しく笑う天野君を見たら、なぜだか急に涙がぽろぽろと溢れてきた。
「え、ちょっ…泣いてんの!?
ごめん、別に責めてるわけじゃなくて…」
「ぅっ…グスッ……違うの……天野君のせいじゃな…っ」
弁解しようとしても、涙が止まらない。
天野君がハンカチを差し出してくれて、更に溢れる涙。
「…落ち着いた?」
「…ぅん…」
「大丈夫?なんかあった?」
「…ううん…ごめんね…」
「…なんかあったんだったら話して」
天野君は真剣な顔であたしを見つめる。
話してしまいたい…
けど、天野君にこんな格好悪いあたしを知られたくなくて