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病み✕つき

第4章 証




次の日からも、あたしは今まで通りさきちゃんたちとお昼ごはんを食べた。


さきちゃんとも、今まで通り…


そう、何も変わらない。
あたしが気付かないフリしてればそれで良い。
何もなかったことできるよね…


それでも、心はチクリと傷んだ。




ーーーーーー…




今日は部活があるから先に帰っててと天野君に言われていた。



『ナイスプレー!天野!!』



一人で帰ろうと玄関を出ると、グラウンドから声援が聞こえてきた。

少し立ち寄ってフェンスを覗くと、青と白のユニフォームを着た天野君が楽しそうに試合をする姿が見えた。


少し応援していこっかな…


天野君の試合に夢中になっていると、あっという間に辺りは暗くなっていた。



「え、もうこんな時間!?」



もうすぐ部活も終わる時間だし…
天野君のこと待ってよっかな?


サッカー部の部室に迎えに行くと、次々と部室からサッカー部員が着替えて出てきた。
しばらくしてみんなが帰った頃、天野君はまだ出てきていない。


天野君は、まだ部室の中…?


外で待っていると、部室の中から微かに女の人の声が聞こえた。

それも、荒々しい吐息と、小さな悲鳴のような…

不審に思い、裏口に回って様子を伺うことにした。
裏口の上の方にある小さな窓が少し開いていて、隙間からはさっきの女の人の声が微かに漏れている



「……あ、あまのぉ……っ」



吐息混じりの、甘ったるい声


あまの…?



「…声でけぇよ…」

「んっ…だって…ぁっ…」



あたしは自分の耳を疑った。 

聴こえたのは紛れもなく天野君の声

そして、天野君の名前を呼んでいるのは、あの先輩の声


う、うそ…


二人が中で何をしているかなんて、漏れる吐息と曇りガラスに映った二人の影を見ればすぐに分かってしまった。




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