病み✕つき
第6章 独占
「…ゆうり先輩でしょ?天野君がそう呼んでるの聞いたもん」
「江藤ごめんっ…俺…」
「別に怒ってないよ?」
「俺…ほんとに今は江藤が好きだと思ってる…
だからもう最後にしようって…この前で最後にするつもりだったから。もう先輩とは…」
「…うん。わかった」
「全部俺が悪い。俺のせいで傷付けたよな…ほんとにごめん」
「大丈夫だよ。」
真剣な表情で謝る天野君に、へらっといつものように空笑いしてみせた。
だけど心は虚しい
そんな言葉が欲しいんじゃない
謝ってほしいんじゃない
「…簡単に許して貰えるとは思ってないけど…
江藤の言うこと、なんでも聞くから
俺に足りないとこ、なんでも言ってほしいし、
俺、やっぱりこれからも江藤の力これからもになりたいから…」
天野君は本当に誠実で、優しい人
さっきの言葉だってきっと嘘じゃないって信じてしまう
信じたいよ
だってあたしには天野君しかいないから…
「…ほんとに…?」
「うん」
「…じゃあわたしのことも…名前で呼んでほしい…」
"ゆうり"
あの先輩みたいを呼んだみたいに
大嫌いなあたしの名前
天野君が呼ぶならきっと好きになれる…