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衝動

第3章 〜彼の目〜



『…………』

彼は私を見つめ続けた。

「……なんですか…」

『……珍しく素直だね』

私は一言もしてほしいなんて口に出してはいない。

彼のこの見透かすような目つきが苦手だった。

私は目をそらした。

『……してほしいんでしょ?』

「……っ…聞かなくてもわか…っ…」

強引に、キスで口を塞がれた。

狡い。

『…ちゅ……ちゅー…』

私に覆いかぶさるような体勢で、彼は何度もキスをした。

「…っ…んんっ…」

狡いけど好きだった。

手首を掴まれ、抵抗できない状況の私は、ただ彼のキスを受け止めた。

『……んっ…』

彼の舌が私の中に入ってくる。

「……くちゅ…」

唾液の混ざる、厭らしい音がする。

『…ちゅー…く…ちゅ』

唾液を吸われた。

彼に食べられているようなこの感覚がたまらなく好き。

『…ん……』

糸を引きながら、彼は私から少し離れた。

「………好き……です…」

自然と口から出ていた言葉だった。

『…ん…知ってるよ…』

彼の細くて長い指が、私の頬を撫でた。










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