テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第10章 戻りたくない

*************




自分の席に戻ってきた私は呆然と何も映っていないPCの画面を見詰めていた。


あの時、確かに私には否定の意思があったのに私は否定をしなかった。


彼女達は勘違いをしたままだから、今後も私へのあたりは強いのだろう。


幸い、名前を思い出せない程度には深い仲ではないようだけど。


私の言葉を止めていたもの。


それは.....


「暁さん.....?」


驚いたような声にハッとする。


私のことをそう呼ぶのは社内でただ一人だ。


「こんな時間まで......お一人のようですけど、残業ですか?」


長い脚を使い、一歩、また一歩と私へと近付いてくる。


「それとも....」


あと10歩もあれば、確実に私の元に辿り着く距離で私は声を上げた。






「待て!!!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ