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最後の恋は甘めの味で

第14章 逃げる

そして、とうとう今日、ずっとその様子を見ていた佳世の堪忍袋の緒が切れたらしく


帰ろうとしていたところを止められ、居酒屋に連行された。


佳世は生ジョッキを一気飲みし、だんっと机に音を立ててそれを置く。


豪快な飲みっぷりに周りのおじ様方も拍手をするほど。


私の口はぽかんと開いたまま閉じる気配がない。


口元の泡を手の甲で拭い、佳世はぷはっと息を吐いた。


「で?どういうことよ」


おちゃらけた感じは一切なし。


本気で私にぶつかってきているのが分かった。


「.......な、なんのことかなぁ」


それなのに私はとことん逃げる姿勢を崩せないでいる。

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