テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第15章 振る

私は、深呼吸をし、手を下で組み、深々と頭を下げた。


「あき....」

「ごめんなさい......私はあなたの気持ちに答えられない」


少し、声が震えたかもしれない。


でもそんなの構ってられない。


理由も、ちゃんと言うんだ。


上條くんに失礼がないように。


そのままの体勢で言葉を続ける。


「私の心にいる人はいつも決まっているの。分かっているだろうけど.....私は元旦那を忘れられない。しつこい女とか重い女って思われても仕方ないと思ってる。だからこそ、答えられない。上條くん、すごくかっこいいと思うし、もっといい女性が」

「暁さん」


上條くんの手が私の肩を掴み、体を起こさせた。


きっと悲しんで歪んでいると思われた上條くんの顔。


それなのに......



彼の顔に張り付いていたのは......









不敵な笑みだった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ