テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第21章 鳴る携帯

カウンターに置かれたマティーニのグラスの縁を指でなぞりながら俺は口を開いた。


「相手は知っての通り、俺の上司」

「なんか回りくどいわね......名前、言っちゃいなさいよ」

「やだ。お前に教えるととことん調べた挙句接近するだろ」

「当たり前じゃない」


当然といった顔をする涼。


でも、こいつは本当にやりかねない。


一番ビビったのは、涼の元彼に女の影が見えたって話。


この女は悪びれもなく彼氏の携帯電話を覗き、メールの履歴を見ようとした。


が、当たり前のようにそこにはロックがかかっていて.....


涼の前ではそんなものすら虚しくて、一発でロックを外したらしいけど。


そこに映し出された自分の名ではない他の女の名。


徹底的に調べ上げた結果、その女も二股を掛けていることが発覚。


その女の彼氏に接近し、真実を告げ、地獄の復讐劇を2人でしたとかしないとか。


その話を聞いたとき、こいつの分析力と行動力を舐めてかかったら痛い目に遭うと心底思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ