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最後の恋は甘めの味で

第22章 聞こえた想い

俺はなんとなく予想ができていた。


きっと暁さんの口からは元旦那さんの名前が出てくる。


名前を知れるのはいい機会だけど、どうにも気持ち的に嬉しくない。


少し重い気持ちでカウンターに置かれた携帯を見る。


『...........ん』


ようやく聞こえてきた暁さんの声。


はっきり聞こえなかったがどうやら誰かの名前を言ったらしく。



ん、で終わる名前?

仁(じん)、とかか?



乏しい頭ではなかなか”ん”で終わる名前がそれくらいしか思い付かない。


『なに?恥ずかしがってくねくねしてないではっきり言ってよ』


君島さんの言葉に思わずそんな暁さんを浮かべる自分。


それで顔がにやけそうになるのもまた気持ち悪い。


『........くん』


どうやら名前の最後の文字じゃなく敬称を言ってたらしい。


旦那さんのこと○○くんって呼んでいたのだろうか。



つまり、年下?



それにしても暁さんのあの性格だ。


結婚した相手にくん付するだろうか。


そんな時、何故だか暁さんの声が俺を呼ぶ。










”上條くん”










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