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最後の恋は甘めの味で

第24章 会いに来た

手が一気に熱を失っているのに気付く。


そのためか震えが止まらない。


逃げればいいのに足が動かない。







怖い......











苦しい.......











息が詰まる......
















「暁さん」














強くはっきりした声。


熱が少しだけ戻ってきた気がした。


助けを求めるように顔を向ける。


だけど上條くんの視線は私に向いていなかった。



っ......なんで......



「........あとで山程文句、聞くんで今は逃げずに前、向いてて下さい」


違う。


今言って欲しいのはそんなことじゃない。



分かってるでしょう?



訴えるように見ていると上條くんの顔がやっとこちらに向いた。


その顔にはいつもの勝気な目はなく、瞳は少し揺れていた。



大丈夫だから.....



唇の動きだけで声にならないその言葉。


まるで上條くん自身にも言い聞かせてるようだった。

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