
最後の恋は甘めの味で
第26章 告げる想い
寝起きなのかしら?
車の中で寝てて今起きたのだろうか。
もう一度呼びかけようと口を開こうとしたとき
『空港出てちょっと行った所のコンビニにいます』
その言葉が聞こえ、電話が切れた。
.........は?
確かあの男、迎えに行くって言ってたわよね。
今の口ぶりだとどう考えたって私にこっちに来いと言ってる感じだ。
まあ、静岡空港まで歩いて行ける距離だしそう遠くないとこにあるんだろうけど........
文句はあるけど、間が空いてしまった上條くんの心情がなんとなく分かって嫌な気分ではなかった。
食べた後の運動がてら歩くと決めたその時、私の目の前に一台のタクシーが止まった。
驚いて止まっていると後ろにいる匠真に背を押された。
「上條くんに言っておいて。いい機会、与えてくれてありがとう。また会えるのを楽しみにしてるって。じゃあ、また!お幸せに。暁」
後ろを振り返ったけど匠真の背はもう遠くに行ってしまっていた。
この距離だともう声も届かないだろう。
....ありがとう
匠真
心の中でそう言い、私は深々とその背にお礼をした。
