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最後の恋は甘めの味で

第32章 初めての..... 前編






俺のマンションに着き、急激に暁さんの顔が強ばったのが分かった。


そんな暁さんを置き、俺は前に進む。


が、しかし、自動ドアももう手前に来ているのに一向について来る足音がしない。


後ろでおろおろしている暁さんの様子が浮かび、一度足を止め、振り返り手を差し出そうとした時。


見える暁さんの両手足同時進行。


「......ぶっ」


思わず吹き出し、暁さんの睨みが刺さる。


睨んでいるけれど、その顔は真っ赤だ。


「緊張、してます?」

「っ!........当たり前じゃない」


強がると思ってたのに意外に素直で拍子抜けた。


俺は優しく微笑み、手を差し出す。


「大丈夫です。すぐには、しませんよ。何も」

「すぐに”は”って.....」


言いながらも暁さんは俺に近付き、差し出していた手をぎゅっとした。


さり気なく指を絡めれば、一瞬硬直したけどすぐに握り返してくれた。

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