最後の恋は甘めの味で
第32章 初めての..... 前編
部屋に入ればより一層暁さんが強ばったのが分かった。
そんなに緊張されるとこっちもやる気が失せてしまう。
はぁと息を吐けば、暁さんがびくりと震えた。
おいおい......これじゃ本当に俺が無理矢理.....
突如、手の暖かさがなくなり、暁さんの手が離れたことに気付く。
帰る、とでも言うつもりだろうか。
まあ、言ったとしても帰らせないけど。
変な闘志を燃やしていると暁さんの口が開く。
「お、お風呂!お風呂入らせて。私、臭いし」
「.......着替えもないのに?」
暁さん、撃沈。
なんだか今日はできない気がする。
仲直りできただけでもよしとするか
心の広い俺はそう割り切り、部屋に上がる。
暁さんが小さくあと漏らし、気まずそうな雰囲気を出しているのを放置し
自分の部屋へ。
洋服ダンスを開け、暁さんでも着られる服を探していると俺に落とされるひとつの影。