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最後の恋は甘めの味で

第5章 最悪の日

そんな記憶はないはず.......なのだが、鮮明に昨日、したことを思い出す。



あ......!!

そうだった

すっかり忘れてた.....



あの人からの留守電が衝撃的すぎて.......



途中までは確実に覚えていた筈なのに。


なぜそんな大変な事忘れていたのか自分でも分からない。


私の様子を見て、上條くんは頭を項垂れる。


「マジかよ......忘れてた....?この俺とのキスを......?」


私に問いかけるようでいて独り言のように上条くんは呟く。



これはどうすれば.....

ごめんなさい?

いや、違うわよね



第一にしてあの時のあの行動の意味すら私には理解できない。


とは言っても先手をかけたのは私だったりするんだけど.....。


上條くんは項垂れた頭を起こし、ゆっくりと口を開く。


「暁さんのことは充分わかりました。つまり、こんな最上級の男がキスをしたってなんの印象にも残らないってことっすね」


自分で最上級と言ってしまう上条くん。


否定できない自分も嫌になる。


「だったら、その上をすればいい......ってことか」


その上.....?

キスの上って.......?


考えがその行為にたどり着く前に、上條くんの瞳は獣並に私を捉える。


「っ........」

「抱いてやるよ」


さも当然、というように言われた言葉。


「泣いていた理由も全部吐かせてやる」

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