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最後の恋は甘めの味で

第5章 最悪の日

「もう一回問いますけど、言うつもりはないんすか?」


私の頭は完全にパニックを起こしている。


だって、上條くんがこんなに怒っている理由もこの状況だって理解できていないのだ。


硬直している私に呆れたのかはぁと息を吐くのが聞こえた。


「あのですね、暁さん。俺、今究極にムカついてるんです」



なぜ?

あなたが?



そんな疑問が頭を埋め尽くす。


上條くんはじーっと私を見つめたかと思うと壁についていた手を離し、私の頬に片手を添える。




.............チッ




チッ?!

舌打ち?!



もう本当に意味が分からない。


私があなたに何をしたって言うのよ。


そのくせ、頬に触れるその手は宝物を扱うように優しくて私はもっと混乱する。


上條くんはあー.....と頭を乱暴に掻き、呟くように言葉を発した。


「.......早朝、俺、あんたにキスしたんすよ?」



........?

キス?



いつ私がこの男とキスなんてしたというのだろう。

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