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最後の恋は甘めの味で

第40章 え?言いましたよ?

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お見送りさえ盛大にされ、走るは高速道路。


車に乗って、幾度となく再度家庭事情を聞こうとしたけれど


真也はあの一回きりとして口を開くことはなかった。


ちぇっといじけ、外の景色を見ればまた単調な景色が流れていて


思わず欠伸が漏れた。


昨日あまり寝れなかったし寝ようと目を閉じた時。


微かに聞こえた真也の声。


「.......暁さんは金持ちの俺じゃなきゃ好きじゃないんですか....?」


あまりに不安そうなその声が可愛く思え、私はくすりと笑う。


そんな真也を見たかったけど意外に瞼が重く、目を開くことはできなかった。


せめてその不安を和らげるために、と小さく小さく答えを返す。


「んーん......私は”真也”が好きだから.....大好きだから.....安心して......絶対に離れないから......」


うわ言のように呟いたそれに真也がどれほど救われたか知らぬまま


私は眠りについたのだった。







★完★

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