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最後の恋は甘めの味で

第8章 イライラ

仕事をし始めてしばらく経った時、私は難関にぶち当たる。


プログラムがわからないとかじゃなく、変更された部位を思い出せない。


さっきから実行してみてはエラーの繰り返しをしている。


そういう時は変更部位が書いてある紙を見ればいいのだが.....。


チラッとある席を見る。


そこには朝の上の空が嘘のように、仕事に打ち込む上條くんの姿があった。


注がれる視線は私だけではなく、息抜きをしてはチラチラと目の保養にされる上條くん。


「...........」


そう。


私はあの男に変更部位が書かれた紙を渡した記憶がある。


コピーを取ってから渡せば良かったのに、自分の記憶力を過信しすぎた結果。


いつもなら、ごめんね、の一言をかけて、もらいにいくのだが、今日はいつもとは違う。


大人の態度を取らない、と決めたせいで断固として優しく接さなかった私。


それは自分を追い詰めることになった。


つまり何が言いたいかというと......。


彼に話し掛けにくくなったのだ。


私だったら嫌だ。


ずっと自分に嫌な態度を取った人に困った時だけそんなんされたらとてつもなくその人にがっかりするだろう。



あー、そう

あんだけの態度とっといてそういうときだけ?



とか思っちゃう。


そこまで思うのは自分お性格の問題なんだろうけど.....。


少なくとも快くは教えてあげないだろう。

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