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最後の恋は甘めの味で

第9章 相合傘

もう一度小さく息を吐き、少し止むまで待つことにする。


会社の前を行き交う人々。


帰りを急ぐサラリーマン。


買い物終わりの主婦。


学校終わりの学生など。


誰もが雨の中忙しそうに動いている。


それぞれの目的に向かって。


そんな中、一人動けないでいる私。


今日は、雨のせいだけど。


縛られていると自覚してから自分の足が妙に重い。


報われないのに。


あの人にはもう違う道があるのに。



私から......あの人に別れを告げたのに......



じめじめじめじめじめじめ......


この天気のように私の気持ちも晴れない。


そんな自分がうざくて顔を横に振る。

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