テキストサイズ

秘密の時間は私のもの

第8章 藤塚亞




まさか、男か?



そろりと覗けばその予感は的中し


確かにそこには小ぶりの男子がうずくまり、涙を流していた。


制服はどうやら新品で俺と同じく新入生だということが伺えた。


こんな入学初日に泣くって一体何があったというのだろう。



.....まあ、何があったにしろ俺には関係ない



そう思い、踵を返そうとしたところ



「うわぁ」



そんな小さな悲鳴が聞こえた。


見れば俺の存在に驚いたのか、男は後ずさっていた。



「あ、あの、み、見て?」



上げた顔は、今日見た女、どれを取ってしても引けを取らないくらい可愛くて


今までの人生きっと苦労はなかったのだろう


なんて自分のことを棚に上げて思うくらいの顔面偏差値の持ち主で。



それでいて.....



「なんか.....受けっぽい」



そんな印象を......



ってあれ?

今、俺、口に出してた?

うわ、無意識だ...



だってどう見たって“女の子”とシても全く攻めない顔してんじゃん。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ