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秘密の時間は私のもの

第8章 藤塚亞

男はしばらくぽかーんとし、俺の顔を見つめていたが


そのうち、真っ赤だった顔は青くなり始め


遂には泣き腫らした目にまたもや涙を溜め始めた。


相手は男。


そんなもん放っておけばいいのだが


どうにもこいつの女顔が邪魔をし、俺の中に罪悪感が芽生える。



「なぜ、泣く!」

「だって、どうせ、バラ撒くんでしょ....?噂」

「そんな性格悪くねーよ!それにバラ撒いたところで俺にメリットねぇs」

「嘘だ.....」



こいつっ.....人の話聞く気ねぇだろ!



俺の中のイライラが悲壮感たっぷりの男に対し募り出す。


それによって、声のボリュームも自ずと大きくなってしまう。



「だーかーら!」



しかし、またしても次の言葉は男が俺に詰め寄ったことで阻まれる。


唇との距離、約5cmほど。



おいおいおい.....俺にそっちの趣味はねぇぞ



思いながらも体を引けないのは引いた状態でこの距離だから。

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