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秘密の時間は私のもの

第9章 立川颯太 前編

バレやしないさ。


そう自分に言い聞かせている時。


向かい合ってるやつの視線が僕の後ろに向けられた。



「そう思うだろ?上野も」



げっ.....



その名前を聞き、体が拒絶反応を示す。


上野聖(うえのひじり)。


中学に入り、同じクラスになってからというもの


執拗に僕の後ろの席を陣取ってくる変なヤツ。


僕も向かいのやつ同じく、仕方なしに後ろを振り向く。



「別に。あんだけ人気だったらいろいろ苦労もありそうで全然嬉しくない」

「だから俺らで分けようって話だよ」

「......それって、立川も含んでんの」

「?当たり前じゃん」

「ふーん」



上野はいつも何か察してるような素振りを見せるから苦手だ。


僕の思い違いなのかも知れないけれど


上野の視線に、言葉に、行動にドキドキしている自分がいる。



「そっか。立川もモテてーんだ」

「そりゃそうだよ。だって好意寄せられるって嬉しくない?」

「そうかねー。俺は多数より1人に寄せられたいし寄せたいけど」



凄いごもっともだし、僕もそう思う、し、そうしている。

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