
秘密の時間は私のもの
第9章 立川颯太 前編
「本当に大丈夫?」
「なにか悩みがあるなら....」
「ううん。大丈夫。本当、まだちょっと始まった中学生活に体がついていけてなかっただけなんだ」
嘘も大嘘。
だけど本当のことなんて言えるわけない。
この普通の2人にこんな異常なこと言ってはいけない。
両親は納得出来ない顔をしていたけれど
僕がそれの一点張りだからとうとう折れたらしい。
必要なものがあったらなんでも言って、と口添えし病室を出て行った。
.......はぁ。僕、ダメだな
2人だって仕事あるのに.....
ツキン....
痛い.....頭も、胸も.....
苦しくて仕方ない。
なんで僕は“普通”に産まれてこなかったんだろう。
どうして、こんな想いをしなきゃいけないんだ。
どうして僕だけ......
つぅと頬に冷たい感触を得た時、誰かの視線を感じ取る。
ハッとし、そちらを向けば、そこには上野がいて。
「な、んで.....上、野」
「........涙」
その言葉に慌てて目元を拭う。
