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秘密の時間は私のもの

第9章 立川颯太 前編

それにしても本当にどうして上野がここにいるんだろう。


確かに倒れたのは学校だけど


僕が入院することになった病院は誰にも伝えてない筈。


知っていても先生くらいだと思うし


その先生にわざわざ聞いてまで上野が来るとも思えない。


ぐるぐると頭の中で今の状況を整理する僕を知ってか知らずか


上野がこちらに向かいながら口を開く。



「お前が倒れたのが昨日の放課後で昨日は金曜日。よって今日は土曜」



........で?



当たり前のことをずらっと並べられると人間って本当にそう思うらしい。


口にしなかっただけでも褒めて頂きたい。


それにしても....



「土曜なんだよ」



続け様にそう言い、はぁと溜息を吐く上野はどこか気だるげで残念そう。


そんな様子を見せられて僕は一体どうすれば.....


というかそんなことより僕が気になっているのは



「土曜なのは分かったけど、なんで上野がここにいるの?」



そう、これなんだよ。


上野はしばらく間を開け



「............あぁ、そうだ」



と呟いた。

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