
秘密の時間は私のもの
第9章 立川颯太 前編
僕に、聞きたいこと?
なんだろう?
考えるも思い当たる節がないので、上野の次の言葉を待つことにした。
じっと待つこと数分。
上野がいきなり顔を逸らした。
??どうしたんだろう?
疑問に思っていると上野が視線だけを僕に寄越し、口を開く。
「見すぎ」
「?なにが?」
「お前が俺のことをだよ」
「??僕、待ってただk」
「とにかく見すぎ」
そう言いながら僕の顔の前に手を出す上野の耳。
仄かに赤い気がして。
......あの上野が照れてる?
それは人の心配をしていた上野以上に新鮮で
思わず再度じっと見詰めてしまった。
そんな僕に上野ははぁと溜息を吐いた。
「こんな照れるために来たんじゃねぇっつーの」
「はは。新鮮で僕は心地いいけど」
「ったく聞くことが聞くことだから聞いていいのか悩んでるって言うのに」
「上野でもそういう心遣いできるんだ?」
「お前なぁ....」
自然と笑みが零れ、さっきまでの暗い気持ちは消えていた。
