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秘密の時間は私のもの

第9章 立川颯太 前編

不思議な気分だ。


苦手だったはずの上野と話してこんな気分になるなんて。


もしかしたら僕が勝手に察していると思っているだけで


本当は上野は何も察していないのかも。


そう思ったのに.....




















「あー......お前ってさ.......東野のこと、好きなのか?」






















僕に降りかかった言葉は呆気なく僕の思いを崩していった。



やっぱり、上野は察していたんだ



意外に頭は冷静で、否定の言葉まで思い浮かんだ。


なのに、何故か声が出ない。



なに、してるの.....

早く否定しないと“普通”から除外されてしまうよ?

自分が倒れるまで守ってきた位置でしょ?

ほら、早く



気持ちは急かすのに口が言うことを聞かない。


喉が渇いて上手く息が.....
















「立川」


















僕に届いたその声は強く、まるで安心させるようで。


下がっていた僕の顔を上げさせた。

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