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秘密の時間は私のもの

第9章 立川颯太 前編

上げて、見えた上野の顔は気持ち悪いだとか


有り得ないだとかそんなことを思っている節はなくて。


だからと言って、共感している節もないけれど。



「安心すれば。別に言いふらしたりしねぇし」

「......じゃあ、なんで、今....」

「別に。確認したかっただけ。まあ、若干焦ったけど。そんな泣きそうになるなんて」



泣きそうにもなるさ。


僕のこれは一生誰にも言わず気付かれず胸の奥にしまっておこうと思ってたのに。


こんなにも容易く口に出されては溜まったものじゃない。



「......気持ち悪いとか、思わないの?同性が好きなんて」

「うーん.....なんつーか、本来異性に持つはずの感情を同性に持っちまうだけだろ?別に気持ち悪くは無いだろ」



世の中、普通と違えば異常だと思われるのが当たり前。


上野はそれを違うと言う。


分かっている。


上野だからこう言うんだ。


周りに流されない上野だからこそ。

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