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秘密の時間は私のもの

第9章 立川颯太 前編

だけど僕の気持ちは驚く程軽くなっていて。


そこで気付く。


僕は本当の自分を誰にも気付かれたくないと


気付かれるべきではないと思っていた。


でも、違ったんだ......


本当は、ずっと、ずっと.....誰か1人でもいいから












本当の僕を見つけて欲しかったんだ








「お、おい。立川.....」



上野の戸惑った声。


先程から頬に何かが流れる感触があるから


きっと僕は今、泣いてるんだろう。


止めなきゃとも思うが、自覚をするとより一層止められないもので。



「ぅ....ふっく.....」



声を押し殺して泣く僕に上野は戸惑いながらも


僕の傍から離れることはなかった。





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「泣き過ぎだろ」



僕の涙が止まったのは泣き始めて約1時間後だった。


お陰でなんだか目の周りがひりひりする。


それを案じてか上野が買ってくれた缶ジュースで


絶賛目元を冷やしている最中だ。

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