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秘密の時間は私のもの

第10章 立川颯太 後編

やけになった僕の口から出てきたそんな言葉。


言ってから、ハッとする。



なんだよ。こんな遠回しな言い方

これじゃ誤解を招かねないじゃないか

すぐにとかない、と....



思った時、見えた、上野の顔。


何もかも遅いと僕を諭すように、悲しそうに歪んでいた。



「....そっか。俺、なんか勘違いしてたんだな。悪い。もう高校で話し掛けること、ねぇし。安心しろよ」



待って.....違う....違うんだ!

僕は、上野のことが!!



.................言って、どうする?

言って、どうなる



止めようとした手を引き


振り向くことなくその場から立ち去る上野の背を見つめ


これでいいんだと言い聞かせるのにどうしても涙が止まらない。


上野から切られた方が幾分かマシだったそれを


僕は自分で切り、またも心を深い深い闇に落としたのだった。









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