
秘密の時間は私のもの
第14章 「久しぶり」
それから恐らく10分程。
上野は笑いに笑って.....
「腹、いてぇ......」
お腹の筋肉をやられ撃沈。
たったあれだけのことでよくこんなになるまで笑えると
呆れを通り越して僕は関心さえしている。
それにしても、上野がこんなに笑っているところを見るのは初めてかもしれない。
僕の記憶の中にいる上野はどこか冷めていて
いつも寝ているかある一点をボーッと見詰めていた。
笑うことはあっても、こんな大爆笑をするような奴ではなかった様に思える。
そういえば、笑顔を見たいと思っていた時期もあったっけ。
それが叶ったというのにどこか心は悲しくて。
しなかったことをするようになった目の前の上野は
僕の知っている上野ではないような気がして。
そんな訳、ないのに....
今の上野を直視できなくて自ずと下がってしまう頭。
それをぐいっとどこからか持ち上げる手。
