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秘密の時間は私のもの

第3章 題材

俺は颯太の手をガッと掴み逃げる体勢に......と思ったのだが


その手は何故か颯太の手を掴むことなく空振り。


見ればいつの間に女の側まで行ったのか。


女の両手を取り、キラキラした目で俺を見ていた。



「亞!すごいねこの子!亞の名前、一発で読めたよ!!」



颯太くん......注目すべきところ違いません?



「どこで知ったの?あの文字の読み方!」



まるで危機感持たない颯太にがっくし肩落とす。


あぁ、そうだったな。


颯太はそういうやつだった。


お前に期待した俺が馬鹿だったよ。


はぁと息を吐いていると女の声が耳に入ってきた。



「いつも立川くん、そう呼んでますから」



..........いつも?


下げていた顔を上げれば、颯太もその言葉が引っかかったようで首を傾げている。



「おい......いつもってどういうことだよ.....」



思わず俺も声を上げる。

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