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秘密の時間は私のもの

第21章 説明してもらおうか

上野はそんな簡単なことも分からないのか。


上野を睨むも分かっているどころか少し怒っているようにも見えて。


その様子に多少の疑問を持つ。


しかし、上野はまだ何かを言う気なのか口を開くもんだから


俺は身を乗り出して



パンッ!



上野を止めようとしたところでそんな大きな音が響いた。


それで上野も動きを止めた。


というよりハッとした感じで視線を泳がせている。



何なんだ。一体



百面相の上野を気にしながらも、俺の視線は音のした方向へ。


そこには滝波がいて、どうやらさっきの音は、手を叩いたことにより出したらしい。


滝波は小さく息を吐くと、俺らを見詰め、一言。



「まずは私が知る限り、状況説明をしましょう」



......確かに、妥当な意見だと思う。


全員の考えが一致していないようなこの状況じゃ


いろいろ面倒なことが起こりかねない。


だけど、だけどな?



その言葉をお前が言うのは間違ってないか?

お前が1番の部外者ぞ?



それを分かっているのかいないのか


分かっていても、滝波にとってそんなことはどうでもいいことなのか


1番状況を把握してなさそうな上野に、滝波は体を向けた。



「上野くん」

「なんで俺の名前、こんな知れ渡ってんだよ」

「それ、今関係ないでしょう?」



初対面でもお前はそうなのか。

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