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秘密の時間は私のもの

第4章 滝波葉結という人間

屈辱的すぎる。


でも、今は、手の命の方が大切だ。


隙があれば抜け出れるかもしれねぇし。


俺は渋々頭を下げ口を開く。



「ちょっと緩めて下さい。お願いします」



気持ちは込めずぶっきらぼうに。



「何を、緩めるんですか?」



.......どうしよう。


上からすごい鼻息と息遣いが聞こえてくる。


どこで興奮するポイントがあったんだよ.....


顔上げたくねぇ....



「縄だよ。な、わ」



またぶっきらぼうに言えば、暫くの間。


かきかきと何かを書く音が聞こえたかと思えば、後ろに回る足音。



「まあ、悪くないでしょう」



何がだよ。


何書いて納得してんだ。


お前は。


聞くのも見るのも怖いから何もしないけど。


ゴソゴソと後ろで緩めているようだが、どうやら隙はないようで


逃げる間もないまま緩める作業は終わったらしい。


滝波が前に行く気配を感じ、顔を上げる。


そんな滝波はやっぱり無表情で何を考えてるかは分からなかった。

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