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ディーン×サム

第2章 Amazing Grace

「サミー……」

 診察台の縁に座って泣いている弟に、ディーンはためらいがちに声をかけた。

「大丈夫か?」

とっさには気の利いた慰めの言葉が思い浮かばない。

「ディーン、……僕、どうしたらいいの?」

サムは真っ赤に泣き腫らした目で兄を見つめた。

「正直言って、俺も戸惑ってるよ」

ディーンは弟の涙を指でそっと拭った。

「やっぱり困るよね、こんなの」

サムは嗚咽を漏らした。兄はきっと迷惑しているのだ。やはりこの子を産むことなど無理だ。

「先生に相談するよ……。中絶できないかどうか……」
「──サムッ!」

ディーンは思わず声を張り上げた。

「バカなことを考えるな!お前、俺たちの子供を殺すつもりなのか?」
「だって、他にどうしろって言うんだよ!」

サムはヒステリックに泣きわめいた。

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