テキストサイズ

ディーン×サム

第2章 Amazing Grace

「……ディーン、いちおう確認するが、サムのお腹の子は……」
「ああ、俺の子だ」

ディーンは俯いたままボビーの質問に答えた。とてもじゃないが、ボビーの目をまともに見られない。

「呆れてるだろ?実の弟をファックするなんてな」
「下品な言い方はよせ」

ボビーは天井を見上げた。彼にも、今はまだディーンと目を合わせる勇気が無いのだ。こんな時、どう言葉をかけてやればいいのか。
ディーンとサムがそんな関係だったとは、今まで全く気付きもしなかった。それだけでも十分ショックなのに、その上に……サムが妊娠?
ボビーは叫び出したくなるのを必死にこらえた。
その時、診察室から医師が出てきた。”妊婦”の家族は、ソワソワと椅子から立ち上がった。

「サムは?」
「それが……、ずっと泣いているの。妊娠を知って、精神的にかなり不安定になっているわ。無理もないけど」

医師は肩をすくめた。男性が妊娠という前代未聞の出来事に、彼女自身も困惑を隠せないのだ。

「やっぱり、弟は……」
「ええ、多分12週ぐらいね」

全身の力が一気に抜け落ち、ディーンは椅子にへたりこんだ。
弟の腹に、自分の子供がいる。弟と自分の子供……。あり得ないが、現実だ。

「ディーン、大丈夫か?」

呆然とするディーンの背中を、ボビーは優しくさすった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ