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黒の青空

第5章 3

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「ん〜〜〜っ…」


ぐーっと伸びをしながらクローゼットから出た

あの日からいつもの光景

床に積み重なった教科書

くしゃくしゃのプリント

ゲーム機と何かのコードが塊になってる

つまり散らかった部屋


「ちょっとは直そうや」


呆れ笑い

地味に酷くなってるし








カリカリ…






小さな音が聞こえた

うちは部屋のドアをほんのちょっと、ゆっくりと開けた

にゃぁにゃぁ鳴く仔猫たち

洋の家は猫の家だ

もともと2匹だったけど、片方が今年5匹出産

実はもう1匹大人の猫がいるんやけど、野良化していてもう滅多に帰ってこないらしい


「おいで」


この仔猫たちは最初うちを受け入れてくれなかったけど、今はもう慣れてくれて洋が帰ってくるまで一緒に遊んでる

すり寄ってくることなんかもう当たり前だ


「みんな退屈しないん?」


1匹の子の喉もとを撫でながら聞いてみたけど、気持ち良さそうな顔をするだけ


「うちもみんなと一緒で飼い猫やな」


にゃぁにゃぁ鳴く


「へへへ」


戯れてると人とは違うあったかさに触れる


「人のあったかさの方が好きやなやっぱ」







何だか寂しくなる


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