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黒の青空

第6章 4

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にゃあにゃあ


「…」


仔猫はみんな窓辺の日向で寝ている

お昼でいちばん暖かい時間帯

でもみーちゃんだけ起きててうちの目の前で鳴いてる

そんなうちは洋のベッドで横になっていた

猫の匂いと洋の匂いが混ざった匂い

いや、洋はいつもこの匂い

猫の匂いなんやな


にゃあにゃあ


「…」










理緒










頭の中で洋の声がした

寂しくなる

変なの

布団を頭からかぶる

そしたらみーちゃんがいっそうにゃあにゃあ鳴いた


「…洋…」


何か今日はいっぱい甘えたい

帰ってきたらいっぱい甘えよ




毎日えっちして

ぎゅーってして

キスもして

名前を呼び合ってるのに

今なんか洋の匂いに埋もれてるのに


「…洋…」


洋を全く感じない

いつも忘れてまう

肌も声も

うちより若干高い体温も

いつもこれが最後のように体に覚えさそうとしてるのに、洋が離れたらいつも忘れてまう

早く会いたい







にゃあにゃあ


「…みーちゃん」


寂しいん?

よくすり寄ってくる

うちの胸に落ち着いて丸くなった


「…早く帰ってきてほしいなー」


みーちゃんは答えない

また夢の中


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